引き金引いてサヨウナラ


美菜は、ぽろり、と大粒の雫を頬に落とした。


「ごめん」


距離をとった叶に、美菜は拒絶されたことを改めて感じとった。


美菜はくるりと叶に背を向け、何も言わずにその場から走り去っていく。


たった一人残された叶は、もう声の届かない美菜の背中を見つめる。


そして声を出さずに、唇だけで『秘密』を紡いだ。



……『好きだよ』


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