引き金引いてサヨウナラ


美菜が教室へ戻ると、すでにもうSHRが終わり、授業が始まる頃だった。


ずいぶん長く話し込んでしまったようだ。


叶の席以外にも、チラホラと空席があることに気付く。


今し方まで話しをしていて、美菜よりも先に教室へ戻ったであろう弘の席も、主がいないままだった。


美菜は隣の席の男の子に、小さな声でそっと尋ねた。


真っ赤な目に気付いたかもしれないが、どうでも良い。


男の子はチラリと美菜を見やると、目を伏せて言った。


「昨日先生が言ったろ?
候補生に申し込みするものは、今日の一限目から体育館に集まれって。
うちのクラスからは5人、行った……」


そう言うと、まるで行かない自分を恥じるかのように、男の子は美菜から顔を背けた。


美菜はお礼を言って、空席になっている叶の椅子を見つめた。


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