引き金引いてサヨウナラ


「それじゃまるで、俺らはすぐに戦争へ行けるみたいじゃねぇか」


弘の言葉に、仁は短く「あぁ」と答える。


「機体さえ揃えば、すぐにでも行ける。
そのために……戦争に行くために、候補生になったんだろ?」


仁の後半の言葉は、自分に言い聞かせているようでもあり、いつの間にか周りに集まっていた候補生に向けたものでもあるようだった。


「その覚悟があって、俺たちはここにいるんだろ?」


仁の言葉は、沈黙に支配された体育館へ、静かに響き渡る。


「そりゃあ、そうだけど……でも……」


誰かが呟いた。


異を唱えるわけではない、だけれど、まさか。


困惑した空気が広がっていく。


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