引き金引いてサヨウナラ


でもあの頃は、達也も美菜に関心を持っていたし、柚江の料理に「おいしい」と言っていた。


週末は居間でゴロゴロしないで公園に連れて行ってくれたし、たまに長期の休み──といっても一週間くらいだけど──をとって、旅行へ連れて行ってもくれた。


今はお父さんが休みをとっても、私には学校があるから行けないけれど。


でもそれならば、春休みや夏休みがあるじゃない――


美菜は、達也が変わったから自分の態度も変わったんだと思った。


お父さんが家族に淡白になったから、私も意地を張り出したのだ、と。


そういう年頃であるのかもしれない。


でもどうして達也が変わったのかなんて、美菜は全く気にも止めていなかった。


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