引き金引いてサヨウナラ
第二章
──翌日。
「行ってきまぁす!」
昨日よりも少し遅い時間になってしまい、美菜は慌てて家を出た。
すっきりと晴れ渡った空に、目をやる余裕もない。
急いで駅へ向かうと、待ち合わせ場所の銅像のところへ既に叶が立っていた。
美菜に気付き、小さく手を振っている。
「ごめん、待った?」
息を切らして走り寄った美菜に、叶は微笑みながら頷いた。
そして昨日美菜がしたように、軽く顎を上げる。
「待った。ジュースおごりね」
ご丁寧に話し方まで似せてツンと喋る様子が可笑しくて、美菜は思わず吹き出した。