引き金引いてサヨウナラ
「美菜は嫌いなの?」
視線を逸らして車窓から外を見る美菜と、同じものを見ながら、叶は言った。
晴天の中、まぶしいくらいの緑が目に飛び込んでくる。
電車が走っても走っても、一面緑で。
時折聞こえる踏切のカンカンという音も、のんびりと間延びしていて、まるで警報機が欠伸をしているみたいだ。
のどかな、風景。
「……嫌い」
質問が届かなかったのかと思うくらいの時間が経ったあと、美菜は固い声で、吐き捨てるように言った。
どうして?とききたそうな叶の雰囲気が伝わったようで。
「何もなくてつまらない。だから嫌い」
そう言って、電車の外の風景を、溜め息混じりで見つめた。