引き金引いてサヨウナラ
「そんなことより、説得は進んでるの?」
「まあまあかな」
弘と晴香は高校を卒業したら、この町を出て一緒に生活をしたいと思っている、と美菜は聞いていた。
高校卒業までの三年間で両親を説得するのだと、キラキラした目で話す二人に美菜はいつも、置いていかれる寂しさと、羨ましさと、ほんの少しの誇らしさを感じていた。
だから、自分にもそういう運命が降ってこないかと思っていた。
この町から、この退屈から、連れ出してくれるなら誰でも構わない――
美菜は静かに、弘から視線を外した。
弘の両親も晴香の両親も、最初は大反対していたものの、二人の度重なる説得とお互いの行き来で、最近は少し態度が軟化したときく。
今では、二人の就職先が決まれば構わないと言っているらしい。
美菜は全く将来の展望なんてなかった。
もう将来を約束されたような二人を思いながら、なんとなく、自分は置いてきぼりに感じていた。