引き金引いてサヨウナラ
美菜はキュッと口を閉じ、少し考えたあと、にっこりと笑った。
「叶は私に、世界の色を教えてくれたから」
「色……?」
怪訝そうな叶に、美菜は改めて頷く。
「そう。退屈なモノクロの世界を、染め替えてくれたから」
美菜は叶に体を向けて、真っ直ぐに言葉をつむいだ。
「モノクロの都会から来たあなたが、田舎の彩りに感銘を受けたように。
モノクロの世界にいた私は、世界を彩るあなたに感銘を受けたの」
「う~ん? と……よくわからない……かな?」
戸惑う叶に、美菜は笑った。
「わからなくていいよ。
私だけがわかっていればいいの。
私が『叶に見せたい』と思ったから、見せただけだよ」
それでもなお理解しようと、疑問符を浮かべながら考える叶。
美菜はそんな叶を視界に捉えながら、来た道へ戻りつつ言った。
「行こ。田舎は街灯がないから、暗くなるの早いよ」