引き金引いてサヨウナラ
家に帰ると、とたんに慌ただしくなった。
美菜は制服に着替え、ふと窓の外に目をやる。
まだ少しもやがかかったようなどんよりとした空に、美菜は言い知れぬ不安を覚えた。
慣れているはずの言葉少ない食卓が、今はなんだか息苦しい。
達也は新聞片手にじっとニュースを見ており、今朝は柚江もテレビを消したりはしなかった。
柚江の小言がないだけで食卓は静まり返り、ニュースで原稿を読み上げる声だけが響いていた。
ニュースでは、相手国に問い合わせても、それに対しての正式な返答はなく、ミサイルは実験の失敗によるものであろうと報道している。
美菜は朝ご飯もそこそこに家を出た。
学校に行けば、気が紛れるかもしれない。
そう思いながら。