がんばれ!ノザワくん
「よねちゃんは、歌声もいいよ~」

ノザワくんが、話の輪の中に入ってきた。

「え?ノザワ、よねちゃんとカラオケ行ったのか?いつの間に?なんで俺を誘わなかったんだ」

後ろから、オーノ所長の声がする。

「何言ってるんですか。所長も一緒に行ったじゃないですか、高崎駅前のカラオケボックスに」

「いや、覚えてない」

「覚えてないほど、飲んでましたっけ?」

「最近はそんなに飲んでないぞ」

「最近じゃなくて、9月ですよ。カヨさんと一緒に、4人で…あ、途中まで、アーマ課長もいましたよ」

「あ?そうだっけ?」

アーマ課長まで、否定してる。

「俺は、すぐに帰ったからな」

「だそうだ」

ノザワくんは、一生懸命説明してるけど、2人は「そうだっけ?」としか言わない。…2人して、ノザワくんをはめようとしてるんじゃないか?

「あのカラオケって、ノザワ課長のテンションが高すぎて、所長が頭抱えて座り込んでたじゃないですか。ほら、曲に合わせて、ダンスしてて」

と、よねちゃんが言うと、

「そうか、その時か!」

と、やっと思い出した。

「あの、リンボーダンスみたいなやつだな。それだけ思い出した」

聞いてたみんなは大爆笑。

「ノザワ課長、やってくださいよ~!」

と頼む人たちに、

「そういうのは、お酒が入らないとやらないのっ!」

と、必死になって否定していた。
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