がんばれ!ノザワくん
午後になって、ノザワくんが戻ってきた。

「お札もらってきたよ~」

ノザワくんは、よねちゃんに、前橋東照宮の袋に入ったお札を渡した。

「課長、請求書は?」

「請求書?」

「ココモの総務からもらいませんでした?」

「え?記憶にないな~」

よねちゃんが、ココモ群馬支店の総務に問い合わせると、

『ノザワ課長に渡しましたよ~』

とのこと。

「もらったっけかな~、覚えてないな~」

ノザワくんは、「車に忘れてきたかもしれない」と言いながら、車を見に行った。

よねちゃんが、何気なくお札の入っている袋を見てみると…

…その中に、請求書が一緒に入っていた。

「あ、あった」

よねちゃんは、ハットリさんにサインをもらって、請求書の処理を始めた。

が、…ノザワくんは、なかなか戻ってこなかった。

「あれ?ノザワは、どこに行ったんだ?」

タバコを吸って戻ってきたオーノ所長が、よねちゃんに声をかけた。

「請求書探しに行ったみたいです」

「請求書?今日のやつか?総務のタカシ課長が、『お札と一緒に入れてあります』って言ってたぞ?」

「一緒に入ってました」

「あいつ、『わかりました』って言ってたのに、食事してる間に忘れてたんじゃないか?」

まあ、ノザワくんだからな。そのくらい、日常茶飯事だろ。

「ノザワ課長に、あったって言って来ます」

よねちゃんは、そう言って、ノザワくんを探しに出かけた。
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