がんばれ!ノザワくん
<番外編 好評だったものは…>

懇親会が終わって、片付けを終えたノザワくんとよねちゃんが、事務所に戻ってきた。

「いや~、よねちゃんの持って来た、しんとうワインとたこわさびはうまかったな~」

と、オーノ所長が絶賛してる。

ワインは、前橋市の隣にある、榛東(しんとう)村というところで作られてるワインだったらしい。群馬県内では、ぶどうの産地として有名で、口当たりすっきりのワインも製造してるそうだ。

よねちゃんは、知り合いに紹介されて、そこのワインを買ったらしい。

ただ、買ったよねちゃん本人が飲んでなかったので、味は心配だったみたいなんだよな。

オーノ所長の話によると、支店長が絶賛して、「自分も買いに行こうかな」と言ってたらしい。

たこわさびは、よねちゃんの実家の近くにある漬物店で買ったものらしいんだ。

そこの漬物店は、わさび漬けを作ってる会社で、「たこわさび」というのは、わさびの茎とたこを一緒に漬けたものらしいんだ。

どうやら、ココモの人たちは、この食べ物を知らなかったらしくて、そこにいた人たちで奪い合いになったらしい。

よねちゃんって、けっこうおいしいものを知ってる人だからな。絶賛されるのはあたりまえだろ。

で、ノザワくんがいじけてるんだ。

「俺だって、塩辛持って来たのに~!」

せっかく小田原の塩辛を持って来たのに、誰も何も言ってくれなかったらしい。

「わかった、わかった。ノザワの塩辛も、それなりにうまかった」

オーノ所長がなだめてる。

「で、よねちゃん、次はいつ実家に帰るんだ?」

「え?」

「ぜひ、あのうまいものを買ってきてほしい」

「…次に帰るのは、タイヤの履き替えなので、3月下旬ですけど」

「じゃ、よろしく」

ノザワくんは、

「確かに、あのたこわさびはうまかったけど、俺の塩辛…」

と、力なく叫んでいた。
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