がんばれ!ノザワくん
「なんだ、ノザワ、来てるじゃんか」

取引先に行った、オーノ所長とアーマ課長が戻ってきた。

「はい、何でもなかったです」

「だから言っただろ、何もないって」

オーノ所長が、バッグを開けて、ちょっと大きめの袋に入ったものを、よねちゃんに渡した。

「なんですか、これ」

「西新井大師のカステラ。縁起物だぞ~」

オーノ所長が、土日の間に自宅に戻ったら、大量にあったらしくて、会社への差し入れに持ってきたらしい。

なんで西新井大師なのかは、不明。

「ところで、腹減ったんだけど、先週の干し芋、残ってるか?」

「あの干し芋、土日でカビが進行したみたいで、今朝見たら緑色になってましたよ。なので、捨てました」

「そんなにあったかかったか?」

「今年は暖冬ですからね。このフロアだって、エアコン入れてなくても25℃くらいあるじゃないですか」

「じゃ、さっそく、このカステラ食うか。縁起物だしな」

縁起物、という言葉に反応したせいか、

「じゃ、俺も」

と、ノザワくんもやってきた。

「あれ?ピロリ菌はいいのか?」

アーマ課長が言うと、

「それとこれとは関係ないですよ~」

のんきそうに、ノザワくんが答えてた。
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