がんばれ!ノザワくん
 それから2時間。

 おかしいな。もうとっくに迎えに来てくれてもいいのに。かなりいい感じに冷えてきたんだけどな。

 と、そこへ、総括担当のヨネヤさんがやってきた。どうやら、ノザワ課長が所長に「忘れるな」と言われてたのに、僕を忘れて出かけてしまったらしい。今連絡が入ったと教えてくれた。

 なんてひどい!

 とりあえず、僕は冷蔵庫の中で待機することになった。迎えに来てくれることを願いつつ。

 でも、きっともう会議が始まってるに違いない。飲み会の時間は迫ってきている。僕は活躍できることなく、このまま他の物と一緒に、冷蔵庫の肥やしになってしまうのか…。



 それから更に40分が過ぎた。

 冷蔵庫のドアが開いて、ノザワ課長が中を覗いた。

 迎えに来てくれたんだ!

 嬉しくて、その場から飛び出したくなった。が、…狭い冷蔵庫に入れられているため、身動きが取れなかった。

 僕は、ノザワ課長が持ってきた紙袋に入れられて、車へと連れて行かれた。車の中はクーラーが効いていたが、冷蔵庫から出てきたばかりの僕にとっては、少し暑いくらいだった。

 これで、飲み会が盛り上がること間違いない。僕は、飲み会の主役になれることを夢見ながら、車に揺られていた。

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