がんばれ!ノザワくん
「でも、それはたぶん、強がってるだけだと思うよ」

おタキさんが、そう言った。

「カヨさん、ああ見えても、意地っ張りだから。絶対人の前では涙を見せないタイプだからね。たとえ本人が行きたくなくても、ここからは去るんだから、温かく送り出してあげたいし、うちらがそうしたいから」

よねちゃんは、自分も同感だ、と、頷いた。

「じゃ、花束の手配は、よねちゃんに任せるよ。集金はうちらがやるから」

セトウチさんが、そう言って立ち上がろうとすると、

「何やってるんですか?」

と、タバコを吸って戻ってきた、ノザワくんとはとりんが覗きに来た。

「あ、ノザワ課長と、ハットリさんじゃないですか」

おタキさんが、そう言って、2人を見上げた。

「今、花束の話をしてたんですよ」

セトウチさんがそう言うと、

「あ、カヨさんのね」

と、ノザワくん。

「そう言えば、カヨさん、以前冗談で『花よりもビールの方がいい』って言ってたんですけど」

よねちゃんがそう言うと、

「いや~、ビールよりも花の方がいいんじゃない?」

おタキさんが、そう言った。

「そうだな。さすがに、ここでビール渡すのもな~」

ノザワくんは、そう言いながら、自分の席に座った。
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