がんばれ!ノザワくん

読めない地名

ココモ群馬支店から、「ココモの森保全活動☆参加者募集」の連絡が入った。



ココモグループは、地球保全活動の一環として、あちこちの森林を買うか借りるかして、「ココモの森」として、木々を育てているらしい。主に、水源を守るためらしいんだ。

他にも、海外で苗木植える活動もしていて、今年は、品質管理の若手社員・サカッキィ君が派遣されたらしい。

群馬も例外ではなく、群馬西部にある森の保全活動をやっていて、年に1回、そこを見学に行きつつ、川の上流の清掃活動をやってるらしいんだ。



「よねちゃん、“じんりゅうまち”って、知ってる?」

ノザワくんが、送られてきたメールを見て、悩んでいた。

「は?」

「いや~さ、ココモの森の保全活動の参加者募集の連絡が来たんだけどさ、読み方がわからなくて」

「…そのまま、メール転送すればいいじゃないですか。オールメールで来てますけど」

「でも、朝礼で周知するのに、具体的な場所知らないと、説明できないだろ」

ネットで地図検索するか、他の部署が持ってる地図見せてもらえばいいのに…。道路地図くらいなら、どこにでもあるだろ。

「で、“じんりゅうまち”なんだけどさ」

「…それって、神が流れる町って書きます?」

「うん、それそれ」

「“かんなまち”って読むんですよ」

「え?かん…な?」

「西部の、埼玉寄りにある町です。数年前に合併で出来た町ですよ」

「へ~、そうなんだ。詳しいね」

「まあ、いろいろとあって」

「かんなまちね~、かんな、かんな」

ノザワくんは、忘れないように、と、何度も繰り返して言っていた。

< 54 / 154 >

この作品をシェア

pagetop