がんばれ!ノザワくん
なんだかんだ言って、よねちゃんは、午前中にその束の入力を終わらせた。

「セトウチさ~ん、できましたよ~!」

笑顔で紙の束を持っていくよねちゃんに、セトウチさんは、開いた口がふさがらなかった。

「…はやっ」

「データは、サーバの該当フォルダの中に入れておきましたから」

「あ、じゃあ、確認してみる」

セトウチさん、データを確認する。

「…150件もあったんだ」

「重複してる人が2件ありましたよ」

「もちろん、抜いてあるよね?」

「もちろんです」

セトウチさんは、足元に置いてあるダンボールの中から、別の紙束を取り出して、

「じゃあ、これもよろしく」

と言った。…鬼みたいな人だな。

「報告はまだ先だから、今日できなくてもいいからね~!」

セトウチさんは、よねちゃんの後姿に、そう叫んでいた。…やば、「鬼」って言ったの、聞こえてたかな。
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