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自分でも凄いと思う。



一途すぎて怖いくらい。




それから、毎年バレンタインのチョコレートを渡し続けた。






小学校6年生



中学1年生


中学2年生


中学3年生





5年間、全く同じ渡し方。




涼くんの家のチャイムを押して、涼くんのママに


『涼くんいますか』


と、聞いた。





毎年、涼くんのママは玄関から2階に向かって涼くんを呼んだ。





照れ臭そうに髪を触り、下を向き・・・・・・


涼くんは私に近づいた。




「これ、バレンタイン」






私達は、年に1度か2度しか話せない関係だった。



中学では一度も同じクラスになれなかった。







正直、付き合うまで


ちゃんとした会話をしたことがなかった。






それなのに、どうして5年間も涼くんだけを見つめてきたんだろう。




どうして涼くんじゃなきゃダメだったんだろう。






・・・・・・運命?





小学校の頃、赤い糸ゲームというのが流行ったことがある。





廊下を歩きながら、自分の薬指につながる見えない赤い糸を手繰り寄せて遊んだ。




冗談半分で、糸を引っ張る仕草をしながら階段の角を曲がった時・・・・・・



走ってきた涼くんとぶつかった。






運命なんだ。



そう信じて疑わなかった。





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