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高校最後の夏。
高校最後の試合。
終わりを告げる笛の音が今も耳に残る。
顔をグラウンドに押し付けて
泥にまみれて、涙を隠す。
誰も立ち上がることができなかった。
忘れないよ。
涼くんの姿。
ボールを追い続けた涼くんを・・・・・・
チームの中心として、みんなをまとめてきた涼くん。
誰よりもサッカーが好きで
誰よりもこの日が来る事を恐れていた。
涼くんの夏が終わった。
私の夏も終わった。
西日が眩しすぎて、目を細めた。
涙が溢れたけど、私の涙は涼くんの涙には敵わない。
涼くんは、涙を止めることが出来ず・・・・・・
いつまでもその場所にいた。