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「うん」
「あんな、私な・・・・・・ずっと前から、好きやってんかぁ・・・・・・」
言えた。
気持ちは絶対に知ってる。
5年間もバレンタインのチョコあげ続けてるんだから。
「あ・・・・・・うん。ありがとう・・・・・・」
涼くんから目が離せなかった。
だって、ほんとにかっこいいから。
グリーンのTシャツに、黒の半パン。
小学生の涼くんとは全然違っていた。
夕陽がまぶしかった。
「・・・・・・無理かなぁ?」
私は涼くんと同じ仕草をした。
鼻を触る。
「え?あ・・・・・・え?・・・・・・付き合うってこと?」
涼くんは、クリっとした目で私の目をちらっとだけ見た。
普段は切れ長の目。
だけど、たまに大きくなる。
笑うと優しくて、
照れるとかわいくて。
「うん。・・・・・・無理?」
酸素が足りないよ。
息が・・・・・・できないくらい。
「あ・・・・・・いいで」
いいでって。
いいでって言ってくれた。
長い長い片思いが、今やっと終わった。
「また、俺から電話するわ。ありがとう」
涼くんが電話するって言ってくれた。
まだまだ子供だった私達は、真っ赤になりながら、お互いに ありがとうって言って。
手を振って別れた。
橋を渡りながら
小さくガッツポーズをした。
5年間の『スキ』が溢れ出して
涙が溢れてくる。
やったぁ!!!!
夢じゃないよね。
あんなに遠かった涼くんが・・・・・・
私と付き合ってくれるんだ。