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夜の公園
付き合ってることは、まだ家族には言えなかった。
まだ子供だった。
それに、言わなくても何の不自由もない関係。
家に電話がかかってくることもないから。
付き合って1ヶ月くらいしたある夜。
最近では電話が鳴っても、涼くんだって思うこともないくらい期待していなかった。
・・・・・・『はい、ちょっとお待ちください』
電話に出たお父さんが・・・・・・
お母さんにコソコソ話。
「おい。反町君から電話やぞ!」
ヤバイ。
嬉しいんだけど、どうしようって気持ちで。
リビングで電話に出たせいで、やけによそよそしく会話してしまった。
涼くんが言ったんだ。
『今から走りに行くねんけど、会える?』
胸が激しく高鳴る。
手に汗が・・・・・・
トイレにも行きたい。
ヤバイ!!
ニヤけるよぉ。
でも、背後からの2人の視線が気になって。
「あ、いいよ」
なんてあっさりした返事。
本当は、叫びたかった。
やったぁ!!!まじで?嬉しい!!って。
とにかく誤魔化す為に訳のわからない言い訳をした。
「お母さん、小学校の同窓会の打ち合わせやって!」
そんな訳ねぇ~って顔でお父さんはニヤ二ヤと私を見た。
誰も信じていない嘘をついて家を出た。
同窓会なんて今までしたことないし、同窓会の係でもないし。
でも、これで正直に話すきっかけができた。
気になったのは、涼くんが電話を取ったお父さんに何て言ったのか。
私の下の名前を言ってくれたの?
お父さんが出てもビビって電話を切らなかった涼くん。