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本当は引きずっていた。




他に何人か好きな人ができたけど、やっぱり涼くんを思い出して辛かった。




涼くんほど優しい人はいない。


涼くんほど、私の話を真剣に聞いてくれる人はいない。



涼くんのように、一緒にして安心できる人はいないんだって実感して辛くなるばかりだった。





時間が戻って欲しいと何度も泣いた。






友達と酔っ払って、涼くんの名前を呼んで泣いたり、涼くんの写真を見ながら苦しくなったり・・・・・・


何年もそんなことを繰り返した。




そんな私を涼くんはどこかで見ていたの?


全部見られてたのかなって思うくらい。




『俺のことひきずってんの?歩き出さなあかんで』





強がって笑っていた私、心の中では涙が洪水のように流れていた。






歩き出せないよ。





涼くんが



手を引いてくれないと


前になんて




進めない。










涼くんに彼女ができたと聞くたびに



胸の奥が苦しくて後悔の嵐で眠れなくなる。






どうして、


別れたんだろう・・・・・・






結局、涼くんは留学なんてしなかったんだ。





どうして


涼くんと向き合えなかったんだろう。






涼くんの友達が言った言葉。




『涼くん、すぐ彼女できるけどどの彼女も自分と似てる感じやで』





私に似てる。




私は、それが嬉しくて


やっぱり心の中には涼くんがいつまでも消えなかった。






私も


似た人を目で追ってしまう。






色の黒い人が好きだった。




でも、もう涼くんから卒業しなきゃ・・・・・・











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