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初めての記念日





5年生になって1ヶ月を過ぎた頃には


どうしようもないくらいに


好きになっていた。






そんな私に初めて訪れた記念日は・・・・・・

『セブンイッチ、黒板消しの日』




名前の順で、たまたま同じ日に日直になった。




クラスのほとんどの男子は、日直の仕事を女子に任せていた。



それなのに・・・・・・


私の好きな『反町涼』は、違ってた。




休み時間、黒板を消す彼の後ろ姿を見つけた。


私はこれからずっとこの人を好きでいるんだ、と確信した。



「さすが、ヒロの憧れの的やな。反町は」




友達が冷やかした。




私はみんなから、『ヒロ』と呼ばれていた。




反町・・・・・・

みんながそう呼ぶからそう呼んでいた。




心の中では『涼くん』っていつも呼んでたんだよ。





冷やかされた涼くんは、こっちを見ることもなく、ただ黒板を消していた。




終わるとすぐに走って廊下へ飛び出した。




たった それだけ。





たったそれだけの出来事が 記念日になっちゃうんだ。





それが最初の記念日。



それから、数え切れないくらいの記念日ができた。







最後の記念日は、



『お別れ記念日』・・・・・・







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