アリスと白薔薇の時計塔
籠の中にはサンドイッチと卵焼きが入っていた。見た目は頑張った証としてところどころボロボロだったが、シンにとってはそんな事気にする問題でもない。



“アリスが作ってくれた”



それだけで嬉しくて、味よりも大事な事だった。



サンドイッチを頬張る。シンがチーズとハムのサンドイッチが好きだから、具はチーズとハム。卵焼きは甘め。



「うん、おいしいよ」

「ほんと?」

「うん」

「ほんとにほんと?」

「僕はアリスに嘘つかないよ」



シンが微笑む。



それはとても優しい微笑みだった。アリスが好きな、優しいシンを表したこの表情がアリスはとても好きだ。



< 10 / 18 >

この作品をシェア

pagetop