アリスと白薔薇の時計塔
アリスの作ったお弁当を綺麗に全部平らげ、シンはお礼を言った。



「ありがとうアリス」

「ううん、シンちゃんが喜んでくれるならアリスも嬉しいの」



シンが片づけた空の籠を受け取りアリスはベンチから立ち上がる。



「シンちゃん帰るね」

「あ、送ってくよ」



慌ててベンチから立ち上がるシンにアリスが制した。



「大丈夫、ちゃんと帰れるよ」

「アリス……?」



何か違和感を感じる、何かが音を立てて崩れていきそうな。例えようのない不安に襲われシンが何かを言おうとした時、アリスが遮った。



「千年祭で会おうね」



アリスの笑顔に何も言えなくなり、アリスが去ったあともシンはしばらく立ち尽くしていた。



< 12 / 18 >

この作品をシェア

pagetop