アリスと白薔薇の時計塔
思わずごくりと喉を鳴らす。何とも言えない緊張感が漂う。

「もうすぐこの国で一番大きな大祭がある。もし何か起こる可能性があるとしたら、千年祭だな。騎士見習いも人手の関係で強制参加らしいし、余所からも高位の騎士が数人派遣されてくるみたいだぜ？」


千年祭に関する話題が色々飛び交っているのをシンも耳にしたことがある。楽しみにしてる人も大勢いるが、不安な声も多い。守り手である騎士についての話が特に尽きない。


あとはどの騎士がイケメンだとか、好きな騎士の話がほとんどだったけど。



「ま、とにかくそろそろ席行くか。他の客の邪魔になるだろ？」

「あ、うん」


ルークの後を追うようについていく。そのまま店の奥へ向かい、硝子の扉を通り抜けると、小さな庭園がある。ここがルークとシンのいつもの場所。


今は秋薔薇の季節で、色鮮やかな薔薇が咲き乱れている。その中にテラス席が一つだけ設けられていて、ここはちょっとした非日常な空間だ。

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