アリスと白薔薇の時計塔
シンは中央広場のベンチに座る。ちょうど木陰になっていて涼しく、今日はどこもかしこも千年祭の準備に追われ日中でも人がほとんどいない。



この国で数少ない癒しスポットの一つだ。白い鳩が噴水で水遊びをしているのをぼーっと眺めていると、甘い声がした。



「シンちゃん」

「アリス!こんな暑い中出てきて大丈夫なの?」

「うん!シンちゃんにお弁当持ってきたの」

「僕に……?」



アリスが作ったお弁当。正直食欲はなかったが、アリスがわざわざ作ってきてくれた事が嬉しくて、シンは笑う。



「ありがとうアリス」

「うん」



シンが笑うとアリスも笑う、アリスが笑うとシンも笑う。



そんな関係。



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