四季〜二人で歩む季節〜


過去を思い出してなのか、レンがずっと髪を撫でてくれてるからなのか、わからないけど涙がとめどなく流れてくる。


「物心つく頃にはもう父親は居なくて、母親の男が居た。」

「うん。」

「母親はあたしなんかより男が大事な人でね。
男が居なきゃ生きていけないような人なの。」

「うん。」

「フラれる度にあたしのせいにして、あんたなんか産むんじゃなかったって何度言われた事か。」

「うん。」

「その母親がお金貸してって連絡してきた。
別に貸さなきゃいいだけの話なのに、あたしは渡しに行ったの。
あんなのが母親なんて嫌だし、そんな母親にお金を渡した自分がもっと嫌。」

「うん。」
< 111 / 316 >

この作品をシェア

pagetop