四季〜二人で歩む季節〜
あたしは慌ててカバンから鍵を出し、勢いよくドアを開けた。
何も聞かれたくなくて、何も言われたくない。
「何か飲む?」
「あぁ。」
冷蔵庫からビールを取り出しレンに差し出した瞬間、あたしはレンに抱きしめられていた。
「…レン?」
「黙ってて。」
どれくらい抱きしめられていたんだろう?
例えレンが他の女と抱き合っていても、あたしをきつく抱きしめてくれるならそれでいい。
悲しくても、寂しくても、今はまだ我慢出来る。
その日のレンはいつも以上に口数が少なく、あたしを抱きしめている時間が長かった。