アタシと王子様


「そうですけど…」



一見、冷たそうな雰囲気のその生徒に構えながら返事をすると表情がほどけ柔らかな笑顔を見せた。



「帰ったかと思ったからいてくれて良かった」



「え…はぁ…何か?」



「あぁ!俺は涼平と同じクラスの立木宗助って言います。いきなりで驚かせたよね?」



「涼平って…あ!先輩の!」



「そう、今日はバイトだよね?」



「…バイトです」



行くか行かないか悩んでたんだけど…



「悪いけど…この本を涼平に渡してもらえないかな?」



差し出された本を受けとると先輩が読むなんて意外なぐらい難しそうな分厚い本だった。



「分かりました…」



バイトに行くの決定しちゃったよ…



「じゃあ、頼みます。またお店に遊びに行くよ」



「はい…」



「じゃぁね、よろしく」



あたしに本を手渡すと、そのまま立ち去ってしまった。



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