アタシと王子様


「何だったんだろ…」



また教室に1人残されて、ふと時計を見るとバイトの時間ギリギリだった。



「やばい!急がなきゃ!」


気は乗らないけれど仕方がない…約束しちゃったし。


カバンを抱え渡された本を詰め込みながら店へと走った。



―――…


「すいません!遅くなりまし…た…」



裏口を開けると先輩がいるかもと大きな声を出したけれど更衣室には誰もいない。



「あぁ!…着替えなきゃ!」



ロッカーを開けて制服を取り出すと何かが床に落ちた。



「…なに?何か落ちた」



足元には見たことのないビーズのブレスレット。



「可愛い…」



ピンク色と花の形のビーズで出来ている。



「…誰のかな?」



「良かったら…もらって…」



「先輩?!」



声の方に振り向くと捨てられた子犬のように情けない顔した先輩が俯き立っていた。


< 144 / 192 >

この作品をシェア

pagetop