アタシと王子様


「ごめんね…お詫びのつもり…いらなかったら捨ててくれていいから…」



「……あたし物で釣られたりしませんから!」



「……うん」



弱々しい先輩の返事にプッと吹き出すと目を丸くして顔を上げた。



「桃花ちゃん…?」



「冗談ですって!もう怒ってません!バイトに来て気まずいのも先輩と気まずいのも嫌だし…だから!いいです!…これありがとうございました」



「うん…俺の方こそごめんね…」



笑顔を見せて視線を合わせると先輩の嬉しそうな顔にまた吹き出した。



「あ!立木先輩から本を預かってますよ」



カバンを漁り本を取り出して先輩に渡す。



「……宗助が?」



「はい…渡してくれって」


「ふ〜ん…これを…」



本をパラパラとめくり何やら開いたページを見て動きが止まったと思うと



「ありがと」



なぜか明るい表情を見せて店の奥へと入って行ってしまった。



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