アタシと王子様
こんな時、いつもの先輩なら口八丁で慰めようとするか言い訳するはずなのに黙々と前を歩く。
「桃花ちゃんさ…」
「はい…」
頼りない声に返事をすると
「俺って…頼りないかな?」
「え……」
「あいつらに連れてかれた時に何で電話なりメールなりして来ないの?俺のアドも教えたよね?」
先輩…もしかして、怒ってる?
「迷惑かけ…」
「…たくなかったとか言ったら怒るよ?俺のせいで桃花ちゃんが嫌な思いしてるのに…」
「そんなつもりじゃなくて…」
そんな事を聞かれるなんて思いもしなかった。
「……とりあえず、これからは昼休みも休み時間も噂が落ち着くまでは一緒にいるつもりだから」
「…え?」
「俺がそばにいれば余計な事出来ないでしょ?」
いたずらっ子の様な笑顔を見せていつもの先輩に戻った。