左手は常闇を這う【短編】


左目を手で隠して見えるものと、右目を隠して見えるものがまったく違って見えるように私達はまったく別のものをとらえては、それについてもっとも近づくところまで話し合いながら、妥協を許さず懸命に同化させる術を探した。


何故か、そうしなければならないと互いに感じていたように思う。


そのせいあってか、私が一を云えば十を、“彼”が一を云えば十を。

と云うように、お互い大変楽な関係性を築き上げていたのだ。




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