*あいどる王子*
「あれ…」
スタジオビルの中をトイレを探して歩き回っていたら、いつの間にか薄暗い場所に来ていた。
ここどこ!?
「やだ…迷っちゃった」
きょろきょろと辺りを見渡す。
ビルの地下かなぁ。
「あ、君、オーディションの子?」
「え!?」
いきなり後ろから声がした。
振り向くと、若い男の人。
よかったぁ。
「俺、撮影関係者だけど、審査員になっちゃって。名前は?」
「あ、あたし、桜井結衣です」
「はーい。じゃ、審査始めようか」
え…?
「ここで、ですか?」
「そーだよ?どこでも出来るよ、この審査は。」
どこでもって…
ここはステージでもないし、カメラとかもないのに。
「それにしても君、特に可愛いからさ、てっきりアイドルオーディションの方の子かと思ったけど」
「え…」
「まさか、こっちのほうとはねぇ」
「は…?こっちって、なんですか?」
彼はあたしをじろじろみて、近づいてきた。
「え?アダルト俳優に決まってんじゃん。じゃ、審査開始ー」
えぇーっ!?
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