Melody Honey
桐生から離れると、私はベッドから飛び下りた。

逃げるように部屋を出て行くと、すぐにドアを閉めた。

けど私は、その場から動くことができなかった。

桐生の部屋の前に立ったまま、動けなかった。

彼が出てくると言う訳じゃないのに、私は何をしているのだろう?

そっとドアに耳を当てるけど、部屋からは何も聞こえない。

そのとたん、さっきの桐生の顔が浮かんだ。

涙を流していた桐生の顔だ。

あんな顔した彼を見たのは、初めてだった。
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