Melody Honey
呼び止めたのはいいものの、何て言えばいいのだろうか?

言葉が見当たらない。

私と桐生の間に流れる沈黙が怖い。

「――用がないんだったら呼ぶなよ」

顔をあげて桐生に視線を向けると、彼はまた背中を向けて私から離れようとした。

待って、離れないで!

そう思って、
「私、お見合いをすることになったの」

言った瞬間、私は自分の手で口を塞いだ。

私、何てことを言うのよ!

恨んでも、とっさに言ってしまった言葉が戻ってくる訳がない。
< 132 / 288 >

この作品をシェア

pagetop