Melody Honey
これ以上、桐生とすれ違いになるのはもう嫌だった。

だから話を切り出したのに、
「取り消しにできないって…先方には、もう話がついちゃったのよ?」

お母さんが言った。

「ええっ…!?」

話がついたって、そんな…。

自分が知らない間に起こっていた出来事に、私は何も言えなかった。

「とりあえず、会うだけ会いなさい。

場所は当日に教えるから」

「ちょっと、お母さん…!」

ブツッと、また電話が切れてしまった。

「もう…!」

切れてしまった携帯電話を投げようとしたけど、できなかった。

「何でこうなるのよ…!」

復活したと言うように、私の目からまた涙があふれた。
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