Melody Honey
吐息にも、唇にも、指にも、彼の全てに感じてしまう。

触れられて嬉しいと言うように、感じていると言うように、私の唇から声が出てくる。

何度も何度も、私の唇から甘い声が出てくる。

自分でもどこから出てきているのか、わからなかった。

胸を触っていた手がなでるように、下へと降りて行った。

太ももに触れた瞬間、私の躰がビクッと反応した。

「――ヤダ、詩音…」

詩音を見あげた私の顔は、泣きそうな顔をしているかも知れない。

泣いているのかと言いたくなるくらいの潤んだ目で、私は詩音を見ているのかも知れない。
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