Melody Honey
「弘前です」

「何だ、どうした?」

編集長が聞いてきたので、
「あの、風邪をひいてしまったみたいなので休みたいのですが」

私は言った。

「風邪をひいた?

このアンポンタン」

編集長が言った。

かわいい部下に向かってそれはないんじゃないですか?

心の中で毒づきながら、
「そう言うことなので…」

そこまで言った時、詩音の手が私の背中をなでていることに気づいた。

彼はニヤリと口角をあげて、楽しむように背中をなでている。

ちょっと、まだ電話中なのに。

そう言う意味も込めて、私は詩音をにらみつけた。
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