Melody Honey
詩音の表情は変わらない。

それどころか、背中をなでていた手は太ももへと行く。

「どうした?」

電話越しの編集長の声で、我に返った。

「そう言うことなので、今日は休みます…!」

詩音の手がそこに触れた瞬間、私は子機を離しそうになった。

彼をにらみ続けるけど、それでは全く抵抗にならない。

それどころか、詩音の指に感じてしまっている自分がいる。

もう、何をするのよ…!

人が電話中だって言うのに、何をしてくれるのよ…!

そう思いながら、私は詩音をにらみ続けた。
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