Melody Honey
「結婚するから帰ってきて欲しいって」

「へえ…弟さん、結婚するんだ」

「そうらしい」

自分の弟が結婚すると言うのに、当の詩音は喜んでいなかった。

「詩音は、弟さんの結婚式に出ないの?」

そう聞いた私に、
「ああ」

詩音は返事をした後、私に背中を見せた。

「詩音?」

名前を呼んだ私に、
「風呂に入ってくる」

詩音がリビングを後にした。

その背中が悲しそうに見えたのは、私の気のせいだろうか?
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