Melody Honey
「何してるんだ?」

聞き覚えのある声に振り返ると、詩音が立っていた。

「遅いと思ったら、こんなとこで油を売ってたのか」

呆れたように言いながら、詩音が私に近づいてきた。

「さっさと入るぞ」

ポンと、詩音が私の肩をたたいた。

「…うん」

首を縦に振ってうなずいた時、
「詩音!?」

千晴さんが驚いたように詩音を見た。

その瞬間、詩音の顔が固まった。

どうしたのだろう?

「行くぞ」

詩音はそう言って私の腕を引くと、千晴さんに背中を向けた。

「待って、話だけでも…!」

千晴さんの声が追いかけてくる。

それに対して詩音は立ち止まると、
「弟と上手くやってるんだったら、俺に構うな」
と、言った。
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