Melody Honey
Melody5

過去にケジメ

詩音の過去を聞いた翌日、冷たい雨が降っていた。

その雨は、まるで詩音の抱えている悲しみを表現しているみたいだった。

折りたたみ傘を差しながら家に帰ってきた。

そこで待っていたのは、
「――千晴さん…」

傘も差さずに、雨の中で1人寂しそうに立っている千晴さんだった。

詩音を待っているんだと、私は思った。

泣きそうな声で詩音を呼んでいた声を、思い出した。

「千晴さん」

声をかけた私に気づいたように、千晴さんが視線を向けてきた。

「風邪、ひきますよ?」

そう言った私に、
「――ありがとう、ございます…」

悲しそうに目を伏せながら、千晴さんが言った。
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