Melody Honey
振り向いたその顔は、涙で濡れていた。

「――結婚する前に、ちゃんと詩音に謝りたいの…」

泣きながら、千晴さんが言った。

「会って、謝りたいの…」

千晴さんがそう言った瞬間、フラリと彼女の躰が傾いた。

「千晴さん!?」

私は傘を放り投げると、千晴さんに駆け寄って彼女の躰を受け止めた。

腕の中の千晴さんは、荒い呼吸をしていた。

額に手を当てると、かなりの高熱だった。

この雨の中、ずっと立っていたからだろう。

「大丈夫ですか?」

話かけたけど、千晴さんは荒い呼吸を繰り返していた。

私は千晴さんを抱きかかえると、マンションに連れ込んだ。
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