Melody Honey
その日、詩音が私の部屋にくることはなかった。

私は氷枕を用意したり、スポーツドリンクを飲ませたりと、千晴さんにつきっきりで看病していた。

高熱にうなされていた千晴さんの表情も、次第に穏やかなものへと変わって行った。

「――よかった…」

千晴さんの額に自分の手を当てた瞬間、私は安心した。

彼女の高熱が、やっと下がったのだ。

一事はどうなるかと思ったけど、助かってよかった。

後は、
「詩音と千晴さんを和解させなきゃ…」

口で呟くのは、簡単だ。

でも…どうすれば、2人は和解ができるのだろう?

安心したように眠る千晴さんの顔を見ながら、
「何のとかならないのかな…?」

私はため息をついた。

詩音と千晴さんが過去に苦しんで、悲しむ姿はもう見たくない。

2人には、ちゃんと仲直りをして欲しい。
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