Melody Honey
「ありがとう、な」

かすれた声で、詩音が言った。

「それから、ごめんな」

千晴さんは振り返って微笑むと、
「もう気にしてないよ」
と、言った。

「じゃあ、もう帰るね。

来週に結婚式だから、きてくれるよね?」

そう聞いた千晴さんに、
「ああ、必ずくる」

詩音が首を縦に振ってうなずいた。

「じゃあ、またね」

そう言って千晴さんは微笑むと、玄関の方へと向かった。

彼女の後を追うようについて行くと、千晴さんは靴をはいていた。

「あおいさん、ありがとうございます」

千晴さんが言ったので、
「こちらこそ、ありがとうございます」

私は頭を下げた。

「詩音、絶対きてよ」

詩音の方に視線を向けると、千晴さんは笑った。
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