Melody Honey
「――詩音、やめて…」

そう言ったけれど、
「却下」

詩音に断られてしまった。

彼に触れられて、躰が震えるたびに声が出てきてしまう。

声を出すのをやめようとしても、詩音はそれを許してくれない。

詩音の言いなりだと、私は思った。

サックスを演奏するかのように、詩音の指先が何度も私の躰に触れてきた。

何度も触れられて、表現するように声を出す私は、まるでサックスだ。

気がついたら、お互い裸になっていた。

いつの間に脱いだのだろう?

そんな疑問が浮かんだけど、詩音の指先によって消されてしまう。

「――あおい…?」

私は自分から詩音の首に両手を回すと、彼の唇を塞いだ。

自分からキスしたのはこれで2回目のはずなのに、何故だかドキドキと心臓が鳴っていた。
< 268 / 288 >

この作品をシェア

pagetop