Melody Honey
「兄貴に祝って欲しかったから、兄貴以外の客は呼ばなかったんだ」

香音さんが言った。

そうか、詩音は、たった1人のお兄さんだもんね。

そのお兄さんに、自分たちの結婚を祝って欲しいもんね。

帰り際、千晴さんが「絶対きてね」と言っていたのを思い出した。

詩音の方に視線を向けると、彼はうつむいていた。

照れているのか、頬が紅い。

「兄貴?」

香音さんが詩音を呼んだ。

照れた顔を隠すように詩音は天井をあおぐと、
「余計なことをしてんじゃねーぞ」
と、言った。

そう言った彼に私は何だかおかしくなって、笑いそうになった。
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