Melody Honey
行為が終わっても、私と詩音はベッドのうえで横になっていた。

「もう2度と、どこかへ行くんじゃねーぞ」

そう言った詩音に、
「行かないもん」

私は言い返した。

「へえ、言うな」

「言うわよ」

そう言いあった後、私たちは笑いあった。

本当のことだから言うに決まっているじゃない。

だって私は、詩音が奏でるメロディーに魅入られてしまったからだ。

イジワルで官能的な甘いメロディーに、囚われてしまったからだ。

それに抵抗しようと思った時もあった。

そこから逃げようと思った時もあった。

でも、すぐに捕まってしまった。

捕まって、彼の好みに仕込まれてしまった。

同時に、そのメロディーに自分でも気づかないうちにひかれて行った。

でも気がつかないでいたら、どうなっていたのかな?
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